陸上のスタートダッシュでの太もも裏の肉離れ
ご相談いただいた症状
・高校2年生の女子陸上部員。
・100mを中心に短距離種目へ出場している。
・練習でスターティングブロックを使用したダッシュを行った際、右太もも裏に急な痛みが走った。
・スタートから加速しようと強く地面を蹴った瞬間に痛みが出た。
・その場で走ることを中止した。
・その後は歩くことはできたものの、右脚を大きく前へ出すと太もも裏が痛かった。
・階段を上る際にも軽い痛みがある。
・翌日になっても太もも裏の痛みが残っていた。
・約1か月後に大会を控えていたため、競技復帰についても相談したいとのことで来院された。
原因
短距離走で起こるハムストリングスの肉離れ
太ももの裏側には、ハムストリングスと呼ばれる筋肉があります。
短距離走では、スタートから加速する際やトップスピードで走る際にハムストリングスへ大きな負荷がかかります。
特に、
・スタートダッシュ
・急加速
・全力疾走
・疲労した状態でのスプリント
などでは肉離れが起こることがあります。
今回の選手は、スタートダッシュで加速した瞬間に右太もも裏へ急な痛みが出ていました。
来院時には、
・右ハムストリングスの圧痛
・右脚を前へ出した時の痛み
・膝を曲げる動作での痛み
・ハムストリングスの緊張
・臀部周囲の筋緊張
がみられました。
明らかな大きな腫れや広範囲の皮下出血はみられませんでしたが、受傷直後であり、走る動作では症状が強くなることが予想されたため、まず陸上の走練習を中止して回復を優先することにしました。
治療内容
1回目|受傷翌日
来院時は歩行可能でしたが、歩幅を広げると右太もも裏に痛みがありました。
ハムストリングスには圧痛があり、力を入れて膝を曲げる動作でも症状が出ていました。
受傷直後だったため、痛みを我慢して筋肉を強く伸ばしたり、強い手技を加えたりすることは避けました。
患部の状態を確認しながら超音波を行い、周囲には負担の少ない施術を行いました。
この時点では、
ダッシュ・ジョギング・流し・ジャンプなど、走る練習はいったん完全に中止
としました。
上半身のトレーニングなど、患部へ負担がかからない練習については学校の指導者とも相談しながら行ってもらうことにしました。
2回目|受傷から4日後
歩行時の痛みはかなり軽減していました。
普通の歩幅で歩く分にはほとんど痛みはありませんでしたが、大股で歩くと太もも裏に軽い張りがありました。
圧痛も初回より軽減していました。
まだ走る練習は再開せず、超音波と手技療法を行いながら状態を確認しました。
大会が近いため焦りもありましたが、痛みが減っただけで急いで全力疾走へ戻さないことを説明しました。
3回目|受傷から約1週間後
日常生活では痛みがなくなっていました。
階段の上り下りや学校生活でも症状はありませんでした。
ハムストリングスへ軽く力を入れても痛みがなく、患部の圧痛もかなり軽減していました。
状態を確認したうえで、ここから初めて走る動作を再開しました。
最初は、
・ウォーキング
・軽いジョギング
から開始。
ジョギングで痛みが出ないことを確認し、当日はそれ以上スピードを上げないようにしました。
4回目|受傷から約2週間後
軽いジョギングでは痛みが出ていませんでした。
練習後や翌朝にも太もも裏の痛みはありませんでした。
そこで次の段階として、
50〜60%程度の流し
を開始しました。
最初は距離を短くし、本数も少なめに設定。
走っている最中だけでなく、その日の夜や翌日に症状が戻らないかも確認してもらいました。
この段階でもスターティングブロックを使った全力ダッシュはまだ行いませんでした。
5回目|受傷から約3週間後
60%程度の流しでは症状がなく、70〜80%程度までスピードを上げても太もも裏に痛みは出ていませんでした。
翌日に張りが強くなることもありませんでした。
そこで、
・80%程度の加速走
・短い距離でのダッシュ
・スタート動作の確認
へ段階を進めました。
最初に肉離れを起こしたスタート動作については、いきなり全力では行わず、力を抑えた状態から確認しました。
痛みなく行えたため、練習量を少しずつ戻していくことにしました。
6回目|受傷から約1か月後
通常の短距離練習へ段階的に戻り、最終的には90〜100%に近いスピードでも痛みなく走れるようになっていました。
スターティングブロックを使用したダッシュでも、受傷時に痛めた右太もも裏に症状はありませんでした。
全力に近い100m走を行った後も痛みはなく、翌日にも症状の再発はありませんでした。
大会へ向けた練習にも戻ることができたため、6回目で今回の肉離れに対する定期的な施術を終了しました。
治療回数/期間
治療回数:6回
治療期間:約1か月
今回の競技復帰は、
スタートダッシュで右太もも裏を肉離れ
↓
走る練習を完全に中止
↓
歩行・階段で痛みが出ないことを確認
↓
軽いジョギングを開始
↓
50〜60%程度の流し
↓
70〜80%程度へスピードアップ
↓
加速走・スタート動作を再開
↓
90〜100%に近いスプリント
↓
スターティングブロックから全力に近いダッシュ
↓
翌日にも症状が出ないことを確認
↓
通常練習へ復帰
という流れで進めました。
結果と再発予防
今回の選手は、100mのスタートダッシュで加速した際に、右ハムストリングスを痛めました。
大会を約1か月後に控えていましたが、早期復帰を優先して痛みを我慢しながら走るのではなく、受傷後はいったん走る練習を中止しました。
症状の変化を確認しながら、
・歩行
・ジョギング
・流し
・加速走
・スタートダッシュ
・全力に近いスプリント
と段階的に負荷を戻しました。
約1か月・6回の施術で、
・歩行時の痛みなし
・階段で痛みなし
・ジョギングで痛みなし
・流しで痛みなし
・加速走で痛みなし
・スタートダッシュで痛みなし
・全力に近いスプリント後も症状なし
となり、通常の短距離練習へ復帰しました。
肉離れでは、痛みがなくなったからといって、すぐに全力疾走へ戻せるとは限りません。
特に短距離選手では、ジョギングができる状態とスタートから全力で加速できる状態では、ハムストリングスへかかる負荷が大きく異なります。
そのため今回は、「痛みがなくなったか」だけではなく、「どのスピードまで走れるか」「走った翌日に症状が戻らないか」まで確認しながら競技復帰を進めました。
再発予防として、
・練習前に十分なウォーミングアップを行う
・いきなり全力ダッシュを繰り返さない
・ハムストリングスだけでなく臀部や股関節周囲もトレーニングする
・疲労が強い日に全力スプリントを繰り返さない
・太もも裏に張りや違和感が出た場合は練習強度を調整する
ことをお伝えしました。
そのほかのお悩みへの改善例も多数ございます。
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