野球の投球時に肘の内側が痛む症例
ご相談いただいた症状
・野球のピッチング中に右肘の内側が痛む。
・ボールをリリースする前後で肘の痛みが強くなる。
・投球数が増えると肘の内側に違和感が出る。
・練習後も肘の内側に張りや痛みが残る。
・肘を完全に伸ばすと軽い痛みが出る。
・試合に向けて痛みなく投球できるようになりたい。
高校の硬式野球部に所属し、ピッチャーをしている10代男性の患者様です。
約3週間前から投球時に右肘の内側へ違和感が出始め、練習を続けるうちに痛みが強くなっていました。
最初は投球後に軽い張りを感じる程度でしたが、次第にボールをリリースする前後にも痛みが出るようになり、思い切り投げることが難しくなっていました。
スポーツ整形外科を受診し、画像検査などで骨軟骨損傷や明らかな骨折が認められないことを確認したうえで、投球を一時的に中止するよう指示されました。
その後、肘の状態を整えながら段階的に投球へ復帰することを目的に来院されました。
原因
野球の投球動作では、ボールを加速させる際に肘の内側へ強い負担がかかります。
特にピッチャーは投球動作を繰り返すため、肘の内側にある靱帯や筋肉、腱などに負担が蓄積し、痛みが生じることがあります。
このような投球に関連する肘の障害は、一般的に「野球肘」と呼ばれています。
今回の患者様は、整形外科での評価内容を確認したうえで身体の状態を調べると、
・右肘の内側に圧痛がみられる。
・肘を完全に伸ばす動作で軽い違和感がある。
・前腕の屈筋群に筋肉の緊張がみられる。
・右肩の外旋可動域に左右差がある。
・胸椎の回旋動作が小さくなる傾向がある。
・片脚立ちで身体をひねる際に体幹の安定性が低下する。
といった特徴がありました。
これらの所見から、投球による肘の内側への繰り返しの負担に加え、肩関節や胸椎の可動域、体幹の運動機能などが投球動作に影響している可能性を考えました。
ただし、成長期の野球肘には骨端線や骨軟骨の障害が含まれることがあり、内側側副靱帯の損傷などとの鑑別も重要です。
そのため、肘の内側の痛みを筋肉の問題だけと判断せず、スポーツ整形外科での診断と投球制限の指示を優先しながら対応しました。
治療内容
今回は投球による肘の内側の痛みを軽減し、肩関節や体幹の運動機能を整えながら、安全に投球へ復帰することを目的に施術を行いました。
手技療法では、肘の損傷部位に強い刺激を加えず、前腕や肩甲骨周囲の筋肉に対して、状態に合わせてアプローチしました。
また、肘だけでなく肩関節や胸椎、股関節の可動域も確認し、投球動作に必要な運動療法を取り入れました。
投球の再開については医師の許可を前提とし、痛みの有無や翌日の状態を確認しながら段階的に進める方針としました。
1回目
初回は右肘の内側に圧痛があり、肘を伸ばす際にも軽い違和感が残っていました。
投球は中止した状態を継続し、前腕や肩甲骨周囲の筋肉に対して手技療法を行いました。
また、肩関節や胸椎の可動域を確認し、肘に負担をかけにくい範囲でストレッチと体幹の運動を指導しました。
2回目
約1週間後には、日常生活で肘を動かした際の違和感が少なくなっていました。
肘の内側の圧痛は残っていたものの、前腕の張りは初回より軽減していました。
この段階では投球を再開せず、肩甲骨周囲の筋力トレーニングや胸椎の回旋運動を中心に行いました。
3回目
約3週間後には、肘を曲げ伸ばしする際の違和感がほとんどなくなっていました。
肩関節の可動域も初回より改善していましたが、投球時の痛みがなくなったことを確認できる段階ではないため、投球制限を継続しました。
下半身や体幹のトレーニングを取り入れ、投球動作に必要な身体の連動性を高めることを目指しました。
4回目
約5週間後には、日常生活で肘の痛みが出ることはなくなっていました。
スポーツ整形外科で再評価を受け、段階的な投球練習を開始してよいとの指示があったため、短い距離での軽いキャッチボールから再開しました。
投球後や翌日に痛みが出ないかを確認しながら、無理のない範囲で練習量を調整しました。
5回目
約7週間後には、短い距離でのキャッチボールを痛みなく行えるようになっていました。
投球後の肘の張りも少なく、翌日まで症状が残ることはありませんでした。
一方で、投球距離を伸ばすと肩周囲に疲労感が出やすかったため、肩甲骨周囲や体幹の筋力トレーニングを継続しました。
6回目
約9週間後には、投球距離を段階的に伸ばしても肘の内側に痛みが出なくなっていました。
フォームを確認すると、以前より下半身と体幹を使った投球動作が行いやすくなっていました。
ただし、全力投球や連続した投球練習はまだ行わず、医師や指導者と相談しながら投球強度を調整しました。
7回目
約10週間後には、通常のキャッチボールや強度を調整した投球練習を痛みなく行えるようになっていました。
肘の可動域や肩関節の動きも安定し、投球後の違和感もみられなくなっていました。
今後も投球数の管理と肩関節・体幹のトレーニングを継続することをお伝えし、7回目で定期的な施術を終了しました。
なお、試合での全力投球や登板については、医師の復帰判断に従って段階的に進めることとしました。
治療回数/期間
治療回数:7回
治療期間:約10週間
通院頻度:初期は週1回、その後は1〜2週間に1回程度
結果と予防
約10週間・7回の施術期間を通して、野球の投球時に生じていた右肘の内側の痛みが軽減しました。
初回は肘の曲げ伸ばしでも違和感がありましたが、投球制限を守りながら手技療法と運動療法を行うことで、日常生活での痛みが少なくなりました。
その後、医師の許可を得て短い距離でのキャッチボールから投球を再開し、徐々に投球距離や強度を上げられるようになりました。
再発予防として、
・投球数や練習量を適切に管理する。
・肘に痛みがある状態で投球を続けない。
・肩関節や胸椎の可動域を維持する。
・肩甲骨周囲や体幹の筋力トレーニングを継続する。
・下半身を使った投球フォームを意識する。
・投球後だけでなく翌日の肘の状態も確認する。
・痛みが再発した場合は投球を中止し、スポーツ整形外科へ相談する。
ことをお伝えしました。
そのほかのお悩みへの改善例も多数ございます。
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